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インタビューInterview

Hawaii Tax Institute 2018年から日本人部会に参加 知識向上・人脈作りの絶好の場

2023/08/28

ホノルル日本人商工会議所会員
税理士法人アーク&パートナーズ(東京・千代田区)
内藤 克 税理士

――Hawaii Tax Instituteとは、どのような学会なのでしょうか。
 Hawaii Tax Institute(以下HTI)とは、全米から毎年800名強の税務専門家が参加している歴史ある税務会計学会です。毎年シェラトンワイキキのバンケットホールで行われ、多数の充実したカリキュラムが組まれています。2017年には日米アライアンスプログラムも発足し、そこから私も参加するようになりました。


――参加しようと思ったキッカケは?
 2015年頃から、ハワイに移住した人向けに日本の相続税法改正やマイナンバー制度についてホノルルでセミナーを行っていましたが、その関係で知り合った当時のホノルル日本人商工会議所会頭で弁護士のクリスティーン久保田先生から、「今後、HTIの日本人部会が発足するから参加してみない?」とお誘いを受けたのがキッカケです。もともとハワイ税務に関心がありましたので、どんな学会なのか興味があり、ハワイの会計士の友人と参加しました。

――実際に参加してみていかがでしたか。
 学会の参加者は、会場であるシェラトンワイキキに宿泊しますが、朝食、ランチ、毎日の懇親会まですべてパックになっていますので、ガッツリ勉強したい人にはもってこいの環境だと思いましたね。勉強会では、ホノルルで活躍している日本人弁護士や日本人会計士、ハワイの銀行の副頭取(日本人)、不動産エージェントといった方々が登壇し、経験談や現場の生の声を聴かせていただきました。日本と違ってスピーチの途中からでも参加者が次々と質問しますので、非常に聞きやすい雰囲気で、私もたくさん質問させていただきました。驚いたのは、参加者が受付でUSBを受け取り、持参したパソコンに接続してレジュメを見るというスタイルですね。スピーカーは自分のパソコン画面をスクリーンに映し出し、受講者は自分のパソコン画面で見るわけですが、プレゼン資料はどれもカラフルな表やグラフが中心で、さすがアメリカと感心しました。

――そのほか、ご自身にとってプラスになったことはありますか。
 ハワイの会計士や弁護士とのネットワークを構築できたのは大きな財産ですね。日本に帰った後、クライアントから「ハワイの不動産を買う」、「ハワイにビジネス進出する」といった相談を受けた時、現地に気軽に相談できる専門家がいるのは大変心強いと思います。また、勉強会の空き時間には、必要に応じて「銀行で口座開設体験」、「プール付き豪華別荘見学」「会計事務所訪問」などもセットアップできますので、様々な意味において日米の違いを学ぶことができます。

――日本からはどれくらい参加者がいましたか。
 2020年から2年間、コロナの影響で学会は中断し、2022年11月に再開しましたが、その時は国際税務を行っている税理士や国際法務を扱っている弁護士、投資コンサルタントなど40名くらい参加していたと思います。日本では、まだコロナ明けしていない雰囲気で、極度の円安もあって「ハワイなんか行っている場合ではない」という感じでしたが、参加された先生方は「久しぶりに来たけど、やっぱりハワイは最高だよ」などと満喫されていましたね。

――今年もHTIや日本人部会は開催されるのでしょうか。
 今年は11月5日から開催され、参加者は全体で1000名を超える予定です。日本人部会では、「米国の決算書、申告書(所得税、法人税、相続税)の見方」や「米国での相続手続きであるプロベート対策」、「日米生命保険比較」など、興味あるカリキュラムがたくさん用意されています(これから細かいプログラムが順次決定)。国際税務はこれからという先生にとっても、現地の専門家と触れ合いながら知識を深める絶好の機会だと思います。私もハワイ側からスピーカーとしていくつかの講座で登壇する予定です。

――登壇されるのは初めてですか。
 2019年に日本人部会の関係者から、「米国本土からも日本人会計士が参加しているから、ハワイの会計士と一緒に日本の相続税と米国の相続税の違いを説明してほしい」という依頼を受けて登壇したのが最初ですね。コロナ中断から再開した昨年も登壇させていただきました。

――どのようなことをお話されるのでしょうか。
 私自身もハワイのコンドミニアムを所有していますが、良いこともそうでないことも含め、様々な経験をしていますので、そうした体験談をお話するほか、「日米相続税比較」、「日本人投資家が米国進出する場合の注意点」、「日本法人で物件をどう購入するか?」、「ハワイの銀行からどうお金を借りるか?」など、皆さんの関心が高そうな内容を取り上げる予定です。懇親会では、「ハワイからどうテレワークするか?」、「どこでゴルフ練習するか?」、「どこでバーベキューするか?」といった勉強以外のお話もできると思います。

――最後にメッセージをお願いします。
 私がハワイ税務に関心を持ったのは、2015年頃からクライアントがハワイ不動産を続々と買い始めたため、勉強せざるを得なくなり、ハワイの人脈を通じて会計士と知り合ったことがきっかけです。ハワイを知ることで米国税務を知り、日本の居住者が海外資産を保有した場合、日本側でどのような課税関係が生じるか、非常に理解できるようになりました。
 税理士試験では、相続税や法人税の外国税額控除をたくさん勉強しましたが、米国の申告書のどの部分を見るのかなど分からず、単に暗記しただけで使い物にならないことを痛感しました。今はインターネットで何でも調べることができますが、実際に外国で活躍している日本人専門家と触れ合い、彼らから学ぶことは、今後の税理士業務において貴重な財産になると思います。
 ハワイの風は格別です。コロナ明けを実感する良い機会でもあると思いますので、ぜひ一度参加してみてはいかがでしょうか。今のところ、日本に事務局がないためウェブサイトで申し込むことになります。日本語サイトや紹介動画もありますのでご参考ください(https://hawaiitaxinstitutefoundation.configio.com/)。

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